一般皮膚科

ここでは頻度の高い皮膚病について解説します。

アトピー性皮膚炎

全身に左右対称に慢性に湿疹病変を繰り返すものをアトピー性皮膚炎といいます。アトピー性皮膚炎の治療はこれまでいろいろと論争があり、いまだに様々な情報が流れ、混乱しているといってもよいでしょう。

しかし、最近の研究結果からいえば、やはりアトピー性皮膚炎における湿疹病変は、ステロイド外用剤をしっかりと外用して抑えていくべきといえるでしょう。また、かゆみ赤みがなくなったらすぐにステロイドの外用をやめてしまう方が多いのですが、炎症の火種は皮膚の中に残っており、すぐに外用を中止するのはよくないのです。近年では、かゆみ、赤みがなくなっても週2~3回は外用を続けておくこと(プロアクティブ療法とよばれています)が推奨されております。プロアクティブ療法を数年間続けても全身的な副作用の心配はありません。

ただし、顔面の皮膚に関してはステロイド外用剤を長期間用いると、ステロイドざ瘡や酒さ様皮膚炎といった副作用が起こってしまうこともありますので、治療開始後1~2週間程度はステロイド外用剤を用い、その後はプロトピック軟膏という軟膏を用いて経過を見ます。これもかゆみや赤みが治まっている間は週2~3回の外用をしておけばよいでしょう。症状がなくなっても決してすぐに外用をやめてはいけません。

また、近年の研究によれば、ステロイド外用剤を過剰に怖がりアトピー性皮膚炎の症状を治療せず放置すると、次々にいろいろなものに対するアレルギーが起こってくるということも示されております。皮膚に湿疹病変の小さな掻き傷が絶えず存在すると、その傷口からダニ、ハウスダスト、食物成分などがしみこんでいき、経皮感作と呼ばれる反応が起き、アレルギーを起こすのだと考えられております。

従来、「アレルギーが根底にあってアトピーを引き起こす」考えられてきたのですが実はそれは間違いで、「アトピーの症状を治療せず放置した結果として様々なアレルギーがひきおこされる」というのが近年の研究から導き出された考え方です。

ですから、ステロイド外用剤を必要以上に恐れアトピー性皮膚炎の症状を放置するほうが、はるかに恐ろしい結果をもたらす可能性が高いといえるでしょう。しっかりとステロイド外用剤を外用し、かゆみや赤みといった炎症症状を抑えるようにしましょう。

じんましん

蚊に刺されたような、かゆみのある発疹が全身に出没を繰り返します。一つ一つの発疹は24時間以内にあとかたなく消失するのが特徴です。じんましんの原因は様々ですが大部分は現在存在する検査では原因を明らかにできない特発性のじんましんです。そのほかアレルギーによって起こってくるものや、物理的刺激によって起こるじんましんなどもあります。アレルギー性のものである可能性が高い場合にはアレルギー検査を行います。

治療は抗ヒスタミン薬を中心とした内服を行います。

にきび(尋常性ざ瘡)

にきびは、毛穴のつまりから始まります。毛穴のつまり→毛穴に皮脂やアカが貯まる→ニキビ菌が増殖する→炎症反応が起こる、という順番でおこってくるわけです。よって治療は毛穴がつまるのを防ぐ塗り薬とニキビ菌を退治する塗り薬の2種類が基本となります。また症状に応じて、ニキビ菌を退治するのみ薬や漢方薬を用いることもあります。

ここで皆さんにわかっていただきたいのは、にきびの治療は時間がかかるということです。早くきれいにしてほしいというお気持ちはわかるのですが、残念ながら根気が必要となります。1~2週間の治療では決して完全によくなることはありません。最低3ヶ月は継続しなければならないものと考えてください。薬をやめると再燃してしまい治療が数年に及ぶこともあります。

また、便秘はにきびの治療には大敵となります。必要であれば下剤(錠剤あるいは漢方薬)の処方も行っております。日常生活では厚化粧、暴飲暴食、脂肪分や糖分の多い食事、ストレスを避けるようにしましょう。

イボ(尋常性疣贅)

手指、手掌、足底に好発する固いできもので、ウイルス感染が原因です。ウオノメやタコと勘違いされている方も多いですが、これは感染症であり他人に移してしまう可能性もあるものですので早めに治療しましょう。

治療方法は、液体窒素という非常に冷たい液体(-196℃)を用いて凍らせてしまいます。凍らせたところは水疱や血マメになったあとカサブタとなって脱落します。

ただし、1回の治療で完治はしません。2~3週に1回ずつ最低でも3~4回の通院が必要となります。場合によっては10回以上の通院が必要になることもあります。意外にしつこい皮膚病です。治ったように見えても、医師に治療終了を告げられるまで自己判断で中止しないようにしてください。

みずむし(白癬)

足の指の間や足底に小水疱が出たり、皮がめくれるといった症状がでます。かゆみを伴うこともあります。また足以外にも実は全身どこにでも起こりうるものです。爪に起こった場合には爪が白く白濁したり肥厚したりします。これらの症状があった場合、まず患部の皮膚や爪を採取して顕微鏡で直接検鏡を行い、みずむし菌(白癬菌)がいるかどうかの確認を行います。

みずむし菌が確認できた場合は、それらを退治する塗り薬(抗真菌外用剤)を用いて治療を行います。しかし、かゆみが強くてすでにかきむしってキズができたりジクジクしている場合、抗真菌剤を単独で外用してしまうとかぶれることもあります。このような場合はステロイド外用剤と抗真菌外用剤を併用すれば問題なく治療できることが多いです。

また、同居している人にもみずむしがある場合は、同時に治療しましょう。一人だけが治療を行っても一緒に暮らしている他の人がみずむしを持っていると、うつし合いをしてしまいいつまでたっても完治できません。

また治療するだけでなく、普段からみずむしの起こりやすい部位は意識的に石鹸で洗浄するよう心がけたほうがよいでしょう。

まきづめ(陥入爪)

まきづめはとくに足の指とくに親指におこりやすいものです。爪のカドが皮膚に突き刺さり、小さな傷をつくり細菌感染をおこし、腫れたり痛んだり化膿したりします。

まきづめは塗り薬などでみていてもなかなか治らないことが多く、外科的処置が必要となります。当院では局所麻酔下で、ガター法とよばれる治療法を主に用いて治療を行っております。これは爪のカドと皮膚の間に細く軟らかいプラスティックチューブを挿入して爪が皮膚に突き刺さらないようにするものです。チューブは外れないように医療用ボンドで固定します。

これを2~3ヶ月つけたままにして爪がくいこまない位置まで伸びるのを待ちます。またガター法で対処できない時は部分抜爪やフェノール法といった方法で治療することもできます。

詳しくは診察時に説明いたします。